✒️浅い眠り

西尾 彩




そんなわけで朝、

車で展望台に向かいながら




あちこちから掻き集めた曲を

ランダムに聞き流していると



中島みゆきの『浅い眠り』

が流れ始めた。





私の青春はユーミンで出来ていると

散々言っているが




中島みゆきも小さい頃から聴いていて

大好きな歌手の一人だ。




だがそんな中

この曲は多分唯一



幼かった時分には

全く良さが分からなくて

飛ばしていた曲だった。





小学校1年生の時、

ハリーポッターの1巻目をもらった。




その時は難しくて

面白くなかったので

早々に読むのをやめた。




小学校6年生になって改めて開いてみると

信じられないくらい面白くて

一気に読んだ。






正にその感覚だった。



メロディが懐かしいのはもちろん、

歌詞が何故か染みた。





なんで朝からこんな

懐かしい事ばかり起こるのだろう。


このまま死ぬんじゃないか、

とすら思えた。












展望台に着いて



朝の街を見下ろした。






昨晩の煌めきも





朝の体操の締めくくりに

隣でひたすらジャンプを繰り返す

おばちゃんの足音も







全て吸い込んで




街は驚くほど静かに

朝を迎えていた。









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